高き館の考
蝿のいない夏に
映えのいい靴鳴らし
何の事かも解らぬままに
罪滅ぼしの線路を辿る

吼え猛る犬の歯に
餓え集る色の羽音が染み入って
有刺鉄線の実は熟れる
有事決戦の身は浮かぶ

金網越しの世界には
また金網があるだけさ
赤紫の街灯が
影絵の我が家を映し出す
電信柱の後ろには
もう誰も収まる事は出来ない

這いずり回る触覚だけが
意識と図式を繋いでいたのだ

聴こえぬ羽撃き
見えざる複眼
銃声は汽笛と共に次の駅
習性は指摘と共に次の席

慈しみは死体と共に
偽りは平和と共に
この腑抜けた家畜舎に
集れ 集れ 集れ
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2013.07.01


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