深皮層より先の道筋
裏山の斜面から
往年の朝日に背いた
蝶番が顔を出し
転がり始めた視界から
平衡感覚の潰える時刻へ
作り笑顔の 秒針を進める

ドアノブの護謨は
巻き取られ伸び切っていた

そう 至る所で
此処に留まる日々を撓らせ
罅割れた翌日へと橋を架ける
単純作業の繰り返しさ

疲れ切った振りをした
括り烏帽子の 病身
不十分な記憶を掻き集め
火薬瓶へと納められてゆく

深皮層まで露出させ
何を曝け出せたのだろう
未練がましい閊えを抱えて
土手の緑に骨が逆立つ

火箸が踊っている

焼却された粗悪な価値と
忘却された不作な幸
摘み引き抜く功徳な余地に
犯罪臭すら漂う不徳

もう十分に楽しんだでしょう
手垢を付けた先の景色は
足場と共に崩れていった
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2013.07.10


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