翅と抜け殻
朝焼け照らす刻の中、
染まる小さな小さな幼虫は
淡い恋心を抱いたまま
街路樹の幹の下を漂う。

籠の中の君は
虚ろな瞳で空を見上げる。
血塗れの羽根を抱き寄せながら。

波の様に押し寄せる白昼夢
透き通る様な大空
君とふたり。


夕暮れ染める刻の中、
染まる小さな小さな抜け殻は
淡い恋心を焼き付けたまま
街路樹の幹の下に転がる。

籠の中の君は
澄んだ瞳で空へ羽ばたく。
純白の羽根を振るわせながら。

波の様に押し寄せる虚無感
透き通る様な大空
僕はひとり。
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2007.06.22