友達もどき
今朝、君の遺体が発見された。

人里離れた山中の
渓谷の底 一人淋しく転がりながら。

全く持って 君に相応しい最後じゃないか。
夥しい数の打撲痕に彩られた軽薄な顔は
紫色にお化粧しながら 僕を見つめる。

友達とは何だろう?

君と出会ってからというもの
そんなどうでもよい疑問が
僕の頭を過ぎる様になった。

君はよく、友達の数を自慢気に話してたけど
一体、その友達の何パーセントが
君の事を友達だと思っていたのでしょう?

君の友情はただの押し売り。
土足で人の心に進入し、粗悪品の友情を売りつける。

モラルある人々は
君を傷付ける事が無い様に、愛想笑いまで浮かべながら
欲しくもない友情を買い取っていたんだ。

だって、見てご覧よ。
君の葬式に"友達"は一人も来てないじゃないか。

君はその人達に
1度でも誠意を見せた事があるかい?

手当たり次第に"友達"という言葉を連呼しては
自分のだらしなさを棚に上げ 人を罵る。
それが君の姿だ。

君は"友達"から借りた金や物を
1度でも自ら進んで
返した事があっただろうか?

君は気付いてなかったけれど
みんな 貸した事を忘れていた訳じゃなく
君の態度を観察してたんだ。

当然、君に金を貸すのは
ヤミ金融業者くらいしか残らない。

結局君は
自分で自分の首を絞めたんだよ。


読経木魂す祭壇の前で
僕はお焼香をあげながら
込上げる笑いを堪えて呟く。

あんたは俺の友達じゃねえ。



・・・聞こえたか?
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2007.06.29