不完全宣言
不完全な者たちは空を見上げる。
あの鳥の様に、あの虫の様に、
いつかは羽ばたく事が出来るのでしょうか?

完全なる者は謂った。
いいでしょう、
彼方たちにこの羽根を差し上げましょう。

不完全な者たちは、鉄の羽根で羽ばたき
大空を駆ける鳥となった。

彼らはまた一歩、完全に近づき
また一つ 夢を失くした。

完全なる者は与える。
これまでも、これからも。
そこに深い意味など存在しない。
与える 喜ぶ 夢を失う。

僕たちは 何を得て
何を失くして行くのだろう?

先日、僕の友人が友を失くしました。
でも、彼は悲しむどころか笑ってさえいたのです。
悩んだり、悔やんだりは
前向きな思考と時間を奪うものだと
悟ってしまったのです。

前向きな心は、背面の景色を写さず
ただ無常な侭に 人を押し流す。

僕は、僕という存在が
完全という存在へと近付ける様に
強く願ってきました。

でも今は、完全という存在が
怖くて仕方が無いのです。

僕は不完全な人間です。

それ故に僕は
夢や憧れ 欲望を抱き 呪い 妬み
時に人の温かさに涙し
あなたをいとおしくさえ思うのです。

もし、僕が完全に近付く事によって
あなたという存在が霞んでしまうのなら、
僕は現在の 不完全な侭の僕で満足なのです。


人は完全とは程遠いい 欠点だらけの生命体。
それ故に 不完全なる者たちは完全を求め、
重力という名の鎖に繋がれた
球体の上で踊り続けるのでしょう。
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2007.07.02