借り者
殺してしまえばいいよ
そんな言葉なんて

延々と続く
林道へと迷い込み
経過した時間を
惜しみ始めた辺りから
液晶越しの花の蔓は
刺々しさを増していった

さてさて
巻き戻したものか
早送りすべきなのか

藪から覗く兎の耳が
夕焼け空に轢かれて垂れる
きっと明日も帰って来れるさ

見送りのマッチ棒が
ジュラルミンの
土手っ腹へと食い込む拍子に
電気の消えた天井には
色取り取りの
星の欠片が打ち上がる

モニターの前で
いつから
保身に努めていたのか
錆びだらけの身体は
雨風を嫌う

盲目の権利が活字となって
木々の間を駆け巡る
囀る声はオウムの様に
誰かの意志を
そっくりそのまま読み上げる

生きている事を否定する
そんな命なんて
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2013.12.15


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