座頭虫が来る
捻じ曲げた足が
彼の全てを支えていた

覚束無い足取りが
取分け
深い意味を持つものだとしても
胸と腹とを見上げる日和に
もはや一刻の猶予も
残されてはいなかった

回想を
豆粒の様な躰が
天高く連れ去ってゆく

歩行者は
通り抜ける事を許されず
ただ闇雲に
顎の先の惨状に怯えていた

ああ せめて
弔いの言葉だけでも
六節の
触肢に巻き付く電飾と共に
輝かせていて下さい
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2014.01.16


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