日避虫の青年期
削り取った影の中で
それは段々と大きくなって
気がつけば街の隅々まで
彼の青春は溢れていた

繋がったままの幼年期
電灯が追い立てるままに駆け抜けた
延長線上には誰もいない

陽が覚束無き折
くれぐれも御自愛下さい

巣立ちを迎える事も無く
一段と暗い納戸の隅で
鋭く尖った刃先と戯る

熱く滾った血液だもの
真っ赤な嘘も紛れてしまうさ

断ち切られた家系図は
膨張続ける切り絵の様に
擦れ切れ
ビルの谷間に消えた
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2014.01.17


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