心拍子
浴槽に潜航する影が
遥か上空を飛翔する
未確認飛行物体へと狙いを定め
ありったけの口説き文句を発射した

水中から大気中へと投げ出され
湿ったその身が
汚れた瞳へと映し出される度に
自堕落で逆説的な振る舞いが
どくんどくんと
大輪の華を咲かせてゆく

舞い上がって居られる内に
焼き付く様なこの情景を
そっと小瓶に忍ばせて置こう

感傷的な言葉では
亀裂を繋ぎ止めれやしない

波間を彷徨う
理想の残骸

痛みだけが
惰性の中で肉を纏い
この心拍に音を見出す
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2014.01.26


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