脱皮不全
空白が呻き声を上げている
積み重ねてきた脱け殻に
痛覚はもう存在せず
其処に並んで居た筈の
君の姿が見つからないのだ

無言で渡る横断歩道
間の抜けた応答が
賑やかな夜に塗り潰されてゆく

皮膚の下の心拍は
信号機の点滅にすら靡いている
無機質な呼び掛けに
僕は何時まで抗えるのか

廃棄したのはお前自身だ

有機物の眼差しが
尾を引く皮の底で燻っていた
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2014.02.02


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