雪中夢「承」
引き戸を開けた拍子に
黴臭い思い出が目から零れる

目映いばかりの釣竿は
今や埃に塗れたただの棒切れ

久方ぶりの邂逅は
嬉しさと寂しさに引き裂かれ
どんな形へと変わるのだろうか

踏み拉く雪の音
それもやがて動きを止める

見定めの儀式が過ぎるまで
一時ばかりの小休止
君が呼ぶのは僕の名前
今はそれだけで充分だろう
関連記事

2014.02.05


Secret