むず痒い通気口
薄暗い風呂場の
むず痒い通気口から
爪の隙間へと進行する囁き

掻き毟ってしまった事を
後悔するよりも先に
誰のものとも分からぬ垢を
口の中へと捻じ込まれる

ばらばらと 風に煽られ
霰は窓を叩いている
曇りガラスの向こうには
疾うに道など無いのだろう

垂れ下がる換気扇に
既に意識はありませんでした

忙しない光が
雪の中へと埋もれて消える
煎じられる事の無い
底知れぬ湯船の淵にて
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2014.02.23


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