構内写生
力無く痙攣する蛍光灯が
申し訳程度に
暗闇を掻き分けている

青白い地下構内では
「おりば」と書かれた木札のみが
私の唯一の存在証明

湿気ったタイルが啜り泣き
靴音を響かせる

また此処に誰か来たのか

画像が乱れ
じわりじわりとノイズが染み出す
モノクロームの人波が
コマ送りの様相で
静寂と喧騒の中を闊歩しながら
並列する冷たいコンクリートの柱へと
吸い込まれてゆく

ああ 今日もまた行き過ぎる

黴臭い隙間には
何時まで経っても電車は来ない
関連記事

2014.02.27


Secret