背中から煙突
蒼褪めた空が
幾重にも連なる電線に
覆い尽くされ
外壁との色の剥離に
罅割れた背中の皮を晒している

まるで刃先を
滑らせたかの様な
張り巡らされた傷痕に
皮膚の下で這いずる支脈が
雲と排煙が入り混じる
産声を轟かせ
煙突の附いたこの廃屋に命を宿す

錆付いた開き戸の錠前が
ぱっくりと割れた
脱け殻の様に張付いていた

生まれてきて御免なさい
取り敢えず
そう云って於けと教わりました
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2014.03.12


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