虹を成すもの
焼きつく様な喉の渇きに
萎れゆく草花は
青白い光の中で浮かび上がる
蛙たちの夢の隙間へと根を伸ばし
さかさまに飛び回る蝶の翅へと絡みつく。

あまりに強く絡むので
その極彩色の砂くずは
透きとおる布の上から零れ落ち
風にさらわれ飛んでゆく。

虚ろな瞳で閉篭り
テレビの中で蠢くものは
僕らの頭に電極挿して
決まった周波で微笑みかける。

不揃いな脳波は
常識と情報の狭間で同調し
僕らは見せ掛けの自我の中へと囚われる。

同じ籠にいるものだから
大きな波は小さな波を飲み込んで
社会という名の共同体を形成する。

自我とは本来、
波を形成する水の一粒一粒。
大きな波の中では
その姿は翳んでしまう。

小さな波は
大きな波の外側で飛沫をあげる
自らの水滴を探しながら。

たとえ大きな波が
あなたを喰うため牙を剥こうと
あなたがそれに興味がなければ
喰われてやる必要はない。

やがて飛沫は水蒸気となり
様々な光を屈折させながら
巨大な龍へと昇華するのだから。

たとえ世間からずれていようが
それを卑下する必要はない。

あなたが好きだと感じるものは
あなたの自我にとって
きっと、大切なものなのだ。
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2007.08.19