皮袋
吹き抜けの天井から垂れる
それはそれは夥しい数の
灰白色の皮袋。

背骨の無いぼくたちは
似紫の靄の中、
さびしい鈴の音を響かせた
罅割れコンクリートの割れ目にて
淀んだ空を睨みながら
雨が降るのを待っている。

けれども、鉛色の空からは
雨が零れる気配は無く、
それとは別に
寒い寒い北風が
綿毛の羽根を連れてきた。

乾きながら
凍えながら
背骨の無いぼくたちは
似紫の靄の中、
さびしい鈴の音を響かせた
罅割れコンクリートの割れ目にて
淀んだ空を睨みながら
雨が降るのを待っている。

けれども、鉛色の空からは
相も変わらず雨は零れず、
待ち草臥れたぼくたちは
象牙の梯子を空へと掛けた。

吹き抜けの天井から垂れる
それはそれは夥しい数の
灰白色の皮袋。

梯子を掛けたぼくたちは
似紫の靄を抜け、
ぴくぴくと痙攣を続ける
灰白色の皮袋の継ぎ目にて
淀んだ肉を孕みながら
皮を裂く日を待っている。
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2007.08.22