屋上で欠伸
廃屋のマネキンが
服を着る事の無い様に
打ち付けた釘を
綺麗な言葉で慰めている

錆付いた身の上とは
まるで無縁なその光沢は
綺麗なものも汚いものも
隔ての無い
一枚の事実へと仕立てあげ
零れ落ちる泣き言を
貯水タンクへとエスコートする

伸び切った皮膚達が
屋上で欠伸をする間に
剥き出しの骨に肉が色付く

来る日も来る日も
艶めかしいフォルムを晒して
何故に
生きる事を拒むのか

滴る様な息を湛えた
月の灯りがやけに五月蠅い
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2014.04.18


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