縮れ翅
翅を伸ばせぬ訳は
罅割れた皮が知っている
糸など張らずとも
意図は透けて垂れ下がり
雁字搦めの視線を結ぶ
春の襲来に背筋を凍らす

風に乗って向かう事も
木々を伝って離れる事も
今の僕には荷が重過ぎて
朝の囀りを耳にする度
傘の隔たりを右に配する

その唄は誰の声だ
この嘘は誰の為か

騙し絵の様な欠落が
足りない距離へと覆い被さり
魅力の無い
愛の結晶が量産される
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2014.04.30


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