拾う声無し
雪解け水が沢を下り
シャッター街を潤してゆく
彼はもう
路地裏で干乾びている
必要は無いのだ

底を突いた鐘の音
糸引く君はまるで粘菌
貼り付いたガムの汚れに
燻っていた日々を重ねて

花壇の蕾はいつの日か
頭上の星へ連なるだろうか

薄暗い店内は
枝分かれした根無し草に
呑まれているが
無邪気な声は
欠陥だらけの耳の中
いつもいつまでも木魂して
一向に受け止める者はなかった
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2014.04.30


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