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田螺
まだ薄暗く
生温い風が肌を撫でる朝。
滑り落ち
宙吊りになった車の中で
見下ろす人は
くねくねくねくね…と、
遥か遠方の地より訪れる
魚の群れに心奪われ
その身の脆さも顧みず
煙と熱に巻かれる身体を
窓硝子の外へと垂れ流す。
随分と高い場所から
飛び降りたものだから
凝固した水分で張り詰める身体は
着地の衝撃で弾け飛び
まるで水風船の如き破裂音を響かせる。
生き残ったものはと言えば
子供の様な瞳で、
くねくねくねくね…と、
休む事無く前進を続ける
魚の群れを追いかけ
傾斜のあるコンクリート塀を攀じ登る。
塀の向こうの窪地は
流れ込んだ雨水により沼となり
日の当たらぬものたちを育む。
まだ薄暗く
生温い風が肌を撫でる朝。
這い上がり
傾斜になったコンクリ塀の上から
見下ろす人は
ぷとぷとぷとぷと…と、
遥か遠方の地より訪れた
魚の群れにへばり付き
生血を啜る田螺の群れを
ただ怯えながらに見つめる。
規則正しく張り付いて
呼吸を奪う田螺の群れは
えらと傷口から侵入し
夥しい数の卵を産み付ける。
随分と長い時間を
この場所で過ごしたものだから
凝固した水分で張り詰める脳は
絶命の衝撃で弾け飛び
まるで傍観者の如き錯誤感を植え付ける。
雨水が引き、沼が干乾びる頃
魚のえらに張り付いた田螺の群れは
次の世代に想いを馳せて
宙吊りになった車の中で
魚を見下ろす夢を見る。
生温い風が肌を撫でる朝。
滑り落ち
宙吊りになった車の中で
見下ろす人は
くねくねくねくね…と、
遥か遠方の地より訪れる
魚の群れに心奪われ
その身の脆さも顧みず
煙と熱に巻かれる身体を
窓硝子の外へと垂れ流す。
随分と高い場所から
飛び降りたものだから
凝固した水分で張り詰める身体は
着地の衝撃で弾け飛び
まるで水風船の如き破裂音を響かせる。
生き残ったものはと言えば
子供の様な瞳で、
くねくねくねくね…と、
休む事無く前進を続ける
魚の群れを追いかけ
傾斜のあるコンクリート塀を攀じ登る。
塀の向こうの窪地は
流れ込んだ雨水により沼となり
日の当たらぬものたちを育む。
まだ薄暗く
生温い風が肌を撫でる朝。
這い上がり
傾斜になったコンクリ塀の上から
見下ろす人は
ぷとぷとぷとぷと…と、
遥か遠方の地より訪れた
魚の群れにへばり付き
生血を啜る田螺の群れを
ただ怯えながらに見つめる。
規則正しく張り付いて
呼吸を奪う田螺の群れは
えらと傷口から侵入し
夥しい数の卵を産み付ける。
随分と長い時間を
この場所で過ごしたものだから
凝固した水分で張り詰める脳は
絶命の衝撃で弾け飛び
まるで傍観者の如き錯誤感を植え付ける。
雨水が引き、沼が干乾びる頃
魚のえらに張り付いた田螺の群れは
次の世代に想いを馳せて
宙吊りになった車の中で
魚を見下ろす夢を見る。
2007.08.27 ▲
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