虫の降る星
平静を装う大気を震わせ
黄金虫が大空へと舞い上がる
取り残された滑走路は
今や脱け殻の様な面持ちで
炎上を始める草の穂に
冷ややかな光沢を重ねて呟く

宙空へと到る頃には
どれだけの機体が地へ還るのか

拡散する鉄と肉
重力を切り裂く慣性が
降り注ぐ
流れ星の様に煌めいている

円みを帯びた格納庫
帆はその開放に打ち震え
全身全霊
風を受け止め旋回するのみ

まるで大輪の華の様だ

咲いては散って
その生き様を瞳へ刻む

この星には虫が降る
故にこの街には星が降るのだ
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2014.05.07


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