首といつまでも
木造アパートに
つまらないものが引っ掛かり
水を張った桶の中へと
腰の曲った老人を招き入れる

招待されぬ事態に
彼等は酷く狼狽えていた

饐えた匂いに埋もれて
花が散るのを ただ眺めてる
実に陰気な春の邂逅
衰えて草臥れて
頭を垂れて潰れてしまえよ この命

甘いものに舌を焼かれ
柔いものに骨砕かれて
正視に堪えぬ この立振る舞い

ああ 目の前には
潰しの利かない半生が横たわる
誰の首を掲げてきたのか
もう当人にも知る由は無い
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2014.05.13


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