鍵の行く末
継ぎ接ぎだらけの身体を盾に
萎びた言葉に水をあげる
人気の無い草原は
いつだって壁の後ろにあった

暗がりをなぞる有刺鉄線は
踏み均す無自覚へ絡みつき
日を跨いで変わりゆく景色の隅に
歪な果実をぶら下げている

見失ったものの名なんて
誰も覚えちゃいないだろうさ

不毛の果ての実りを抱き
思い描いた場所とは別の
朝焼けに影を伸ばす

監視小屋のドアノブは
これまでも これからも
錆の底で息を潜め
二度と噛み合う事のない
鍵の行く末を
案じ続けてゆくのだろう
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2014.05.31


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