不完全きのこ
じめじめ森の枯れ葉の下で
今日もぼくらは回っているよ。

湿気った地面に穴掘って
みんなであやとりしているよ。

網の目状のきらきら糸は
ぬけがら体液たっぷり吸って
さびしい色の寝床から
ぼくらをお空に近づける。

湿気った布団でじゃれ合うからだは
長く太い、立派なくびを形成し
ぱんぱんに膨れ上がったあたまは
敷き詰められた緑葉の隙間から
零れ落ちる爽やかな光を
貪欲に貪り尽くす。

「ぼくらはもう、いっぱしだ!」

自信を持って叫んだけれど…

あれれ、
あれあれ?

何かが足りない。
どこか欠けてる。

だけれども、
足踏みしている時間は無い。
みんなに後れを取りたくない。

心の隙間を埋める為、
ぼくはメディアに溺れます。
脇目も振らずに溺れます。

だけれども、
何かがおかしい満たされない。

心の隙間を埋める為、
ぼくはお日様を拝みます。
脇目も振らずに拝みます。

だけれども、
やっぱりおかしい満たされない。

何をやっても満たされない。
違和感だけが募る日々。

ああ、こんなにも苦しいのなら、
ぼくもいっそ疑う事をやめてしまおう。
思考なんて捨ててしまおう。

そうだ、ぼくも今日から
マスメディアが垂れ流す
ステロなぬるま湯浸かりながら、
お日様仰る御言葉を
全て鵜呑みに生きて行こうか。

「これでぼくも、いっぱしだ!」
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2007.08.31