皿の記憶
食卓に並ぶのは
綴る素振りをしたままの
書記者が愛した鳥の丸焼き

こんがりと色付く頃合い
うんざりとイラつき雑じりの
刃先が行き交う

吹き溜まる交差点は
今や毟り取られた
羽毛に埋もれ
与えられた責務さえ
放棄している

ここから残るのは
記録ではなく記憶である
主観は春に備え
客観は冬に凍えて
空っぽの皿の上に一筋の涙
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2014.10.04


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