転がる飴
鼻を突く廊下を進む
君はまるで 車輪の様に
天地左右が剥がれ落ちた
定まりの無い
畜舎の奧へと沈んでゆく

縮んで融けて
伸びる事すら思い出せず
豆粒の様に晒された
壁掛け時計

時針は自信を切り刻み
澱む病身 詰る秒針

凍え切った庭の土に
ジグザグの肌を散らした
意思の贋物

受け取り損ねた飴は今
蟻の器へと納まって
切り分けられた四肢と共に
新たな日の出へと
甘い薫りを振り撒いている
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2014.12.29


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