カップ一杯の苦味
部屋の中の顔は
乾き切った昼に怯えて
白いカーテンを纏っていた

鳥の声が喧しく
森の小枝が痛ましい
窓の外の営み

珈琲はいくらですか

どこか遠くを見据える為に
どこにも飛んで行かない為に
カップ一杯の苦味を下さい

湯気が天井を濡らす頃
翅脈に透けた
黒い眼球が零れて落ちる
来訪はいつも唐突で
夜はその身を潜めるばかりだ

関連記事

2015.01.16


Secret