雪深く欲深く
焼け爛れた土は
すり抜けてゆく営みを
種の表層へと刻み付ける

季節外れの鈴虫が
硝子の中で翅を震わせ
冷たい雪の上に
転がる様な夕暮れ空を映し出す頃
畜舎に埋もれた体温計は
平熱以上の春の訪れを
通わない血の滞留へと託して嘶く

叩きつける反復運動が
街を汚し街を造る
生気の無い顔で芽吹いて
大気の無い高さへ伸び行く

色付いた肌は
後付けの羊歯に呑まれて
悶えている

刈り切れない快楽を
宿した頭は罪深く
やり切れない墜落へ
備えた言葉は欲深い

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2015.01.28


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