胃壁の街
時計台を包み込む指が
薄汚れた
夜明けに浮かぶ

触れたくもないものが
区画の隅まで糸を張り
乾いた靴音を弄ぶ
弱者の面が涎を垂らす

軟禁された眼球は
行く先すらも制限されて
きっと自由の名の下に
己の意思だと詰られるのさ

これ見よがしなタイルの色が
今日も明日も
晴れやかな目覚めを許さない

切り取られた声に導かれ
鼠は川へ
蜘蛛は蒼天へ
胃袋の中にて共に息絶え

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2015.01.29


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