空の点鬼簿
迎え入れた棺桶は
まだ空っぽの点鬼簿を
見据えている

日付が刻まれ
悲痛な呼び声を期待すれども
偽りの名前を
筆がなぞる事は無い

天井に翅を擦り
剥がれ落ちる鱗粉へ
人は何を縋るのか
幾度も訪れた朝を迎え
幾重にも重ねた夜を溜め込む

変色した身体が
焼られるのを待っています
見失った言葉に
急かされる木彫りの御神体

ああ 空は
焦がれど焦がれど
日は滲み
仰向けのまま 垢抜けぬまま
我が身可愛さに
借り物の顔に刃を立てる

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2015.02.01


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