逆光の棘
点在する種に
変質する鐘の音が
囁く様に染み入ってゆく

偏執する鎌の軌道へ
春は大きく引き摺られ
芽吹き始めた首の付け根に
収穫済みの札がたなびく

続きの絶えた口の奥には
どんな言葉が閊えているのか
急かしても囃しても
果汁を垂らして
幸せそうに微笑むのみ

青臭い指の先
殻だけが眠る旅の史記
枯れた茎にも
綴る花色

こんにちは 暗い空
わたしは あなたを
知っています

逆光の棘が皮膚を割き
百花繚乱の
街の灯りが滲む頃
虐げられた虫の眼に
冬の臨終が映し出される

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2015.02.20


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