残された混線
偽薬効果と見紛う程に
澄んだ瞳は春へと向かう

瞼の下の排水管が
繋がる先は屋根の縁
零れる涙を湛える事無く

ほら 思いっきり放ってみなさい
引き出しの中の抜け殻を
軽くなった借家のドアは
もう悲しみを
呑み込まなくてもいいのだから

トルコブルーの浸食に
破裂音が木霊する

ああ この異物感は何なのか
古傷に雑じった街の電線
耳に残る混線

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2015.02.27


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