行き着く背中
軒下に身を寄せて
遠目に眺める白い節穴
それは群がる程に積み上がり
塞がる事無く病みあがる

此処にはもう
誰の願いもありはしない

形を成した蛾の声が
虚しく木魂す夜更けの晩餐
月が侍らす笑みと戯れ
呼気を狂わせ 根は割れてゆく

喰らい付いて離れない
視線の先の死線
圧し込む短刀

弄り倒した指間の翅が
排水溝へと逃げ行く度に
とっ散らかった肺の動きが
暗い広場へ明りを灯し
球体の上で身を捩らせる

朝と嘯く

ああ 今日もまた
張り巡らされた記憶の影が
引き摺られたまま
翌の我が身を追い越してゆき
熱い背中に 陽が迸る

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2015.03.22


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