硝子玉
階段を登る度 祭壇は息を吐く
華々しい装飾が
晴れ晴れしくも白々しい

彩り豊かな椅子の顔
連なり描いた楠の樹皮
剥がした先には鬼が居て
手と手を繋げば福が微笑む

ああ 先端の赤が愛しい
四角い部屋の死角より
立ち昇る糸の解ける芳香
降りゆく熱と燃え滓

諭してみせよう
結び目が
ずっと弛んでいるから

擦れた咽より ひり出した
玉虫色した多幸感
濁った硝子は
もう 誰の姿も映さない

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2015.03.24


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