顔の無い一輪草
鉄骨に絡まる日差しを丸め
梁の隅へと圧し込める
こんなにも気持ちの好い昼だ
渇いた頭も土へと馴染むさ

そら お前の庭にも
顔を失くした一輪草が
可憐に凛々しく突っ伏して
空の機嫌を窺っている

真っ直ぐに背伸びして
真っ逆さまに間延びする
一つに成れない 歪んだ笑顔

ああ また性懲りもなく
晴天を掻き毟る
姿勢を正した身体だけが
勇敢に誠実に 逃げる事無く
春の毒牙に冒されてゆく

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2015.03.28


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