変わらぬ鮮度
写真に残した納屋の中から
温かなミルクが滲みだして
裏山に残る白い雪へと
雲に繋がる糸を差し出す

牛の声が遠退いてゆく
蛍光灯が呻く午後
アルバムに刻んだ日付と共に

緩やかな光源が
大らかな草原に絵具を垂らし
積み上がる干し草へ
心地好い安眠を齎す度に
甘い綿菓子が
固い種の内側より芽を生やす

乳白色の汁を振り撒き
エンジン音が
蟀谷の奥より昇りくる
揺らがない場所へ
純白の轍

繰り返される営みが
変わらぬ
鮮度でありますように

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2015.04.02


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