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フィルター
心地良い微風に運ばれて
深い緑は薫ってる。
湿気った緑は心に絡み
乾いた緑が頭を過ぎる。
点はいくつも連なりながら
思い思いの線となり
縦横斜めに奧手前、思い思いに形成す。
視界に飛び込むその光景は
僕のフィルターにより濾過されて
立体と平面の狭間で振動し
休む事無く鬩ぎ合うのだ。
僕は僕のフィルターを通す前の
水の色を知らない。
ガラス容器の湖に
一滴一滴したたる水は
それはそれは滑らかで美しく、
空気の様にただただ澄んで…。
ほら、たった今、
湖の底へとお日様が沈んで行きます。
無色透明なものだから
水面からはいつもと何ら変わりない光が溢れ、
それを覗く顔たちは
そこが水中だと理解出来ずに
気道内腔を閉塞させて逝くのです。
疑う事無く見つめ続け、
死んでゆくのもまた美しいのかも知れません。
…ただ、
僕は僕のフィルターを通す前の
水の色を知りたいのです。
取り除かれた不純物は
どんな形で、
どんな薫りをしているのでしょう?
濾過された水はあまりに規則正しく、
ごく稀にフィルターの歪みから流れ込んでくる欠片を
もう一度水に溶かしてみても
あまりに似ても似つかない風景をしているのです。
朱色の鳥居が跨ぐ石段に腰掛け
長閑な光に抱かれる僕は
苔生した岩の影に
今日も月の光を探してる。
深い緑は薫ってる。
湿気った緑は心に絡み
乾いた緑が頭を過ぎる。
点はいくつも連なりながら
思い思いの線となり
縦横斜めに奧手前、思い思いに形成す。
視界に飛び込むその光景は
僕のフィルターにより濾過されて
立体と平面の狭間で振動し
休む事無く鬩ぎ合うのだ。
僕は僕のフィルターを通す前の
水の色を知らない。
ガラス容器の湖に
一滴一滴したたる水は
それはそれは滑らかで美しく、
空気の様にただただ澄んで…。
ほら、たった今、
湖の底へとお日様が沈んで行きます。
無色透明なものだから
水面からはいつもと何ら変わりない光が溢れ、
それを覗く顔たちは
そこが水中だと理解出来ずに
気道内腔を閉塞させて逝くのです。
疑う事無く見つめ続け、
死んでゆくのもまた美しいのかも知れません。
…ただ、
僕は僕のフィルターを通す前の
水の色を知りたいのです。
取り除かれた不純物は
どんな形で、
どんな薫りをしているのでしょう?
濾過された水はあまりに規則正しく、
ごく稀にフィルターの歪みから流れ込んでくる欠片を
もう一度水に溶かしてみても
あまりに似ても似つかない風景をしているのです。
朱色の鳥居が跨ぐ石段に腰掛け
長閑な光に抱かれる僕は
苔生した岩の影に
今日も月の光を探してる。
2007.09.26 ▲
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