つめもの
這い蹲ったその身一つで
掴み切れない熱に悶える

焼べる視界が途切れるまでは
じわりじわりと
肌の軋みが個を隔て
ぐわんぐわんと
廻る御空に
粘土細工の舟を浮かべて

理不尽な血は
浮力と共に渦に成れるか

泣き出すことを忘れた雲は
吐き出す胃液に溶かされるのみ

青褪めた空だ

見晴らしの好い自我の消失
耳の穴では
鮨詰めの虫が時報を告げる

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2015.07.31


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