錆びた情景
裏返ったスプーンに映る
街の背中は等しく燻み
手持無沙汰の路地に佇む
色恋沙汰に螺子を捻じ込む

咥えこんで離さない
穴の軋みは夏の夜空へ
打ち上がっては乱れ咲き
遠い記憶を今に紐付け

瓶詰の果実はやがて
形を失い型に収まる

通り雨を追い掛けて
重みを増した服は語らう
変わらぬ空の遍歴を
戻らぬ靴の行き先を

抜け出す事も叶わないまま
シャッター街にて写真を頬張る

錆びた太陽が顔を出す

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2015.08.06


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