窪んだ世界
靴底の瞳には
潰れ損ねた虫の腹
納まる事すら馴染めずに
脚はひたすら空回る

雷鳴が木々を割り
吹鳴が日々を刈る
安寧は膝と共に
安政は彼我を見下ろし
波立たぬ鏡面を拝み戸を開く

皮一枚で繋がったまま
窪んだ穴は世界を詰め込む

虫はまた死ねなかった
望まれぬ翅が血を交わす
ミニチュアの街を愛する限り
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2015.08.12


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