鍵束
暗い夜道の片隅で
君は地面を這っている。

紅い木の葉が風に揺れ
ひらひらひらひら舞いゆく様を
土に塗した脱殻と
戯れ馴染み、眺めてる。

さびしい外灯照らされて
ぎらぎら光る大きな鎌は
電柱の下で群れを成す
汚れた犬の背骨に根差し
翅を見上げて風を裂いてる。

ああ、眠りに落ちるその刹那、
鼓膜を揺らす君の手は
吹き上がる水に溶けるように
崩れるように
ただ、ふわふわ浮きながら
扉の鍵束鳴らしてる。
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2007.10.03