蛮勇の隅
注ぎ込む意識の行く先は
底の見えない沼の畔
まだ沈んではいないのさ
言い聞かす様に
湿気った靴へと呼び掛ける

水面が抱えた空目掛け
今日も誰かが飛んでゆく
プロペラの先に
沢山の顔を巻き込んで

紫色の風景は
何故にこれほど
遠いのか

掻き分けど掻き分けど
耳に届くは
絞り出された声ばかり

追った背中も
やがては途絶えて
追われる側へと身を窶す

誰よりも深く在れ
映り込んだものさえも
咎める事が出来ない様に

そう 広がりはとうに
蛮勇の隅で
途絶えていたのだ

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2015.10.31


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