欠実
茂みにはまだ亀が寄り添い
甲羅を充たした熱を匿う

ベタ雪に軋む車軸
擦り切れた甘い心音
濃縮された匂いに侵され
圧を強める 幹は脈打つ

靴底が春を蹴り上げる度
解き放たれた雲の切れ間より
捲れた蕾が顔を覗かす

種子はまだ実を結べない


関連記事

2015.11.25


Secret