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不純物
暗がりの壁を、静かに。
でも、
それはそれはとても早く
流れる様な動きのまま
まるで星空を裂く
邀撃機の如き速度で
張り付きながら横切ってゆく
胸から下の無い
水平移動の影の群れは、
古びた集合住宅の踊り場で縮こまり、
身体を震わせ脅えてる
小さな小さな水晶体へと押し寄せて、
その、急速に収縮を始める
毛様体へと焼き付いてゆく。
戸籍の無い僕は、
そこからあぶれて零れ落ち、
階段の隅を、
ただ、
重力定数の指示するままに
1段、
また1段と、
互いの回転に身を委ねながら
円周の底へと落ちて行く。
そこは、反響音の支配する
だだっ広い空間で
生温かい臭気と
その身を窶した液体とが
絶え間無い振動と膨張の中で、
いつ果てるとも知れない転落を
ただ、あるがままに受け入れていた。
遥か頭上には
数え切れない程の光が溢れているが
僕が手を伸ばしたところで
もう2度と、
掴む事は出来ないのだろう。
光から、誰かの名前が零れ
ここにまた、
新たな菌糸が形成される。
名前の無い僕は
水にも成れず
黴にも成れず、
ただ、湿ったコンクリートの上
ふかふかの苔に腰かけて
この僕という意識が
いつの日か
消えてなくなることを夢見ながら
今日も今日とて
不毛な時を思考している。
でも、
それはそれはとても早く
流れる様な動きのまま
まるで星空を裂く
邀撃機の如き速度で
張り付きながら横切ってゆく
胸から下の無い
水平移動の影の群れは、
古びた集合住宅の踊り場で縮こまり、
身体を震わせ脅えてる
小さな小さな水晶体へと押し寄せて、
その、急速に収縮を始める
毛様体へと焼き付いてゆく。
戸籍の無い僕は、
そこからあぶれて零れ落ち、
階段の隅を、
ただ、
重力定数の指示するままに
1段、
また1段と、
互いの回転に身を委ねながら
円周の底へと落ちて行く。
そこは、反響音の支配する
だだっ広い空間で
生温かい臭気と
その身を窶した液体とが
絶え間無い振動と膨張の中で、
いつ果てるとも知れない転落を
ただ、あるがままに受け入れていた。
遥か頭上には
数え切れない程の光が溢れているが
僕が手を伸ばしたところで
もう2度と、
掴む事は出来ないのだろう。
光から、誰かの名前が零れ
ここにまた、
新たな菌糸が形成される。
名前の無い僕は
水にも成れず
黴にも成れず、
ただ、湿ったコンクリートの上
ふかふかの苔に腰かけて
この僕という意識が
いつの日か
消えてなくなることを夢見ながら
今日も今日とて
不毛な時を思考している。
2007.12.04 ▲
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