殷春の酔い
嗅ぎとった匂いは
まだ
痛みの中に春を知らない

凍えるだけの肌 なぞり
灯せるだけの 樹を燃やす
それは誰よりも暖かく
何処よりも熱い 冬の終焉

布一枚を剥ぎ取って
皮一枚を引き離す

蕾を空へと打ち上げて
残雪転がる 殷春の酔い


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2016.02.03


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