劇場は水浸し
車通りの無い商店街
疎らな人と錆びた自転車

ああ 音の割れた
活気が木霊す
陰気で陽気な昼下がり

まだ 肌寒い日が続くでしょう
薄暗い劇場が
賑やかな声を燃やす理由

名の知れた顔触れが
舞台に上がって 挨拶すれば
箱ごと逆上せてしまうのさ

閑静が歓声に掻き消され
感性は慣性を塗り潰す

新鮮な色合いだ

誰ともなく訳もなく
輪唱の渦が肉を捲き込む

其処に在るのは
湯煙立ち込む 理想郷
省みる者など もう居ない

頃合いは いつの日だ


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2016.02.15


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