未練と群体
集合住宅の住人は
誰一人として喋らない

挨拶なんて
必要ないのさ

隣り合わせのエレベーター
行先ボタンは一向に
その輝きを失わず
天地反転
昇っては降り
降っては昇るを繰り返す

終わりなんて無くてもいい

言葉にせずとも
縫い付けられた糸に伝わる
紛い物の心拍音
重なり合って
形を示す他にないのだ

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2016.02.24


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