曇り硝子の住人
裏返った皮膜の色は
どうせ
覚束無いものでしょう

確かなものなど
夢の中にも居やしない

手を繋ぎ 手で潰す
食事を与えて 毒を盛る

ああ 何て豊かな
貧困だろうか

電気の通わぬ送電線
陰気に違わぬ生命線

そう 此処は
土化粧した住宅街

暗闇が雪崩れ溢れる頃には
曇り硝子の奥にさえ
偽る事が義務付けられる

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2016.03.19


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