カビの根
トルコタイルをてからせて
僕のぶどう酒 零れてく

真っ白白の天井と
閉じ込められた可視光線

陶器の色は淀んでて
僕の顔など分かりゃしない

ガンガンと
響く怒号が喧しく
耳鳴り そっと跳ね返る。

洗面台に唾を吐く
スーツ姿のガラクタは
顔と名前を真似たまま
鏡を眺め 気取ってる。

絡みつく
煙の中でほくそ笑み
虚飾は空気を塗り替えた。

根は伸びて
大脳溝へと絡みつき
誇りは静かに悲鳴を上げる。

静寂に
呑まれて消えそな その声は
黒い毛布に包まれて
幾何学模様を描いてる。

可視光線が照らし出す
カビの根 肥やす紛い物。

紫外線 溢れるビルの片隅で
僕は鉄斧 振り下ろす。

うなじを潰す その牙は
視線に焼かれ 刃毀れて
振り向く 無傷のガラクタに
追われて部屋を飛び出した。

幾つも扉を潜っては
冷たい視線に晒されて
色彩纏った電磁波に
今日も鍵穴 潰された。

追い込まれ
開けた小部屋は真っ暗で
手探り歩くその先は
出口など無い籠の内。

明りを失くした籠の中、
足音 僕を取り囲み
ガチャリと何かを構えたよ。

可視光線・・・。

崩れる僕を見下ろすは
僕とおんなじ 正規品。

根が伸びて
大脳溝を蝕まれ
誇りは静かに悲鳴を上げる。

トルコタイルをてからせて
僕のぶどう酒 零れてく。
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2008.02.06