皮膚産く
白に呑まれた空の下
ひび割れ声の鳥連れて
有刺鉄線 掻き分けて

緩やかな
光を浴びて透き通る
鳥のとさかは大きくて
かじかんだ
ぼくの両手は はみ出てる。

閉ざされた
モルタル壁の十字路で
忘れてた
土の香りに高鳴って

吹き溜まる
白濁色の夢の中
冷えた身体を震わせながら
握り締め
張り付き錆びて開かない
両の手のひら くたびれて。

色彩持てずに崩れてく
剥き出し 裸の型枠は
縮こまる
鳥を優しく抱きしめる。

塞がれた
白い地平に突き刺さる
網の目上の電線は
羽 穏やかに慎ましく
亀裂と共に目を伏せて。

黄褐色の肉汁を
深雪の上 飛び散らせ
べろべろ べろべろ
剥き取った
虫の音 連れた陽の下に
新たな皮膚を産かせて。
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2008.02.14